公共インフラの整備はコンセッション方式で
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公共インフラの整備というのはつまり公共事業ですが、自民党政権になってから、「国土強靭化」計画→200兆円公共事業というのが、震災復興に絡ませたり、なぜか横文字に変えて、「ナショナル・レジリエンス」が競争力強化と成長戦略に必要といったような主張にからませて、既定路線のような感じになってしまっています。景気対策というのは、以前にも触れたように、相当工夫しないと、単に特定業界へのバラマキとハコモノの残存に終わり、経済波及効果は小さく、借金のみが膨らむ結果に陥ってしまうので、注意が必要です。
そこで、私が日本に広めたいのがコンセッション方式です。
コンセッション方式は、PFI(Private Finance Initiative)の一種ですが、日本でも、1999年に制定されたPFI法に基づいてPFIが公共投資に使われてきてはいて、これまでに累計4兆2477億円の事業が行われています。ただ、日本のPFIはほとんどが「延べ払い型PFI」で、これはハコモノ施設を政府や自治体が建設する際に、あらかじめ公債を発行して建物を建てるのではなく、建設業者が建設して、その建物を自治体が借りる形で使用料として毎年毎年お金を払い続けるという形式です。つまり、建設費を最初に一括で支払うか、リースでファイナンスするかの違いでしかなく、費用は100%公費負担であることに代わりはありません。
しかし、欧米ではコンセッション方式がだいぶ活用されています。イギリスの空港はほとんどコンセッション方式ですが、たとえばルートン空港では、1998年の改修の際、改修費を税金ではまかなえないという理由でコンセッション方式を採用しました。空港の改修費は全て民間事業者持ちで、空港全般の経営権が民間事業者に委託されているので、事業者は空港へのアクセス道路の拡張、空港内のテナントや鉄道駅といった施設まで投資し、この投資効果によって、旅客数は1997年の340万人から、今や年間920万人にまで急増してイギリス国内5番目の空港になっています。自治体は、建設費用ゼロで空港を改修できただけでなく、旅客数の増加の恩恵も受け、かつ、毎年民間事業者から空港の利用料金を、旅客数に応じて受け取るので、収入増の恩恵も受けています。
実は日本でも、そういう成功事例はあって、制度的にはコンセッション方式ではなく、都市公園法の管理委託制度を使ったものですが、楽天が旧県営宮城球場を改修してホームスタジアムを作ったのがそれです。楽天は、宮城県営球場を70億円かけて改修し、県から球場の管理運営権をもらっています。県は無料で県営球場を豪華に改修できて、かつ、その後利用料収入を得られるという恩恵を受けています。
もちろん、通常道路などのように公費でしかできないインフラ整備もありますが、利用料金が設定されているインフラはすべからくコンセッション方式にできます。空港、港湾、高速道路、上下水道など。こういったこれまで官が独占してきたインフラ経営を民間解放すれば、民間のビジネスチャンスも広がるし、企業も育つし、雇用も増えるし、利用者の利便性も高まる。こういう政策こそ成長戦略なのですが。
三村和也