次世代への責任を果たす政治を
mixiチェック Tweet |
(日々の活動報告はfacebookで行っています。)
日経平均株価が年初来続落しています。原油安や中国経済の不透明感などの海外経済要素が要因ですが、この株価下落が表しているのは何なのでしょうか。
安倍政権のアベノミクスは、量的緩和で円安誘導したことと、財政再建を先送りして公共事業を増やしたことだけが内実でした。もともと内容に乏しかったわけですが、「新三本の矢」に至っては、具体策はほとんど無いに等しいため、安倍さんの言う「GDP600兆円」を達成できると信じる人は皆無と言っていいでしょう。
本当にGDP600兆円を実現するためには、人口減少に歯止めをかける抜本対策や、農業、医療などの規制改革など、やるべき改革はたくさんあります。しかし、安倍政権は、女性の社会進出を阻む配偶者控除などの税制改革にも手をつけておらず、農協改革などは全く中身のない法律を成立させ、医療などの岩盤規制にも手をつけていません。医薬品のネット販売解禁なども例外を多く作り、ほとんど効果のないものにしてしまいました。
結局、「アベノミクス」と呼ばれる株高は、円安誘導のみによるものでしたが、本質的な規制改革には手をつけていないため、実体経済が成長軌道に戻っていないのです。このため、この株高効果が原油安や中国経済などの海外経済要因で剥がれ落ち、弱い日本経済の実態が露わになってしまったといえるでしょう。
その上、安倍政権は、私たちの年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資金を株式に大幅に回しています。昨年7?9月の3カ月間で年金積立金の運用が株価の下落の影響によって大幅にマイナスとなり、その損失額が7兆8,899億円となったことがニュースになりましたが、年初来の株式の大幅な下落で、損失額はさらに広がっているはずです。
さらに、実体経済が弱い中で無理に円安に誘導したことは、株高効果は産みましたが、輸入品の価格上昇で実質賃金を下げ、生活を圧迫しています。
日銀の量的緩和にのみ依存し、本質的な改革に手をつけてこなかったツケが今出ているといえるでしょう。
しかし、相変わらず安倍政権は、高齢者に対する 3 万円の給付金(3624 億円)などを含む バラマキだらけの3兆3千億円の2015年度補正予算を成立させるなど、日本の財政状況を忘れてしまったかのような選挙目当ての政策ばかりを進めています。
株高効果で輸出企業を中心に業績が上がり、税収はここ数年増えてきて、リーマンショック前の水準に戻りつつあります。今こそ、財政再建に道筋を立て、実体経済を立て直す政策を打たなければなりません。
財政再建と経済成長、この二つは実は同じ政策です。財政再建に奇策はありませんが、大きく2つの政策を合わせ技で行う必要があります。
一つ目は、実体経済を成長軌道に乗せ、税収を増やすこと。2つ目は、社会保障制度改革などをはじめとした歳出削減で歳出を減らすこと。いたってシンプルです。
安倍政権は、経済政策は既述のように金融緩和だけで規制改革なし。社会保障改革に至っては、政権スタート以来3年以上「放置」と言っていいでしょう。さらに連立与党対策の軽減税率や選挙目当ての補正予算など、歳出削減とは程遠いものばかりです。
民主党など野党は、次世代への責任を果たす経済政策と財政再建を柱に据えるべきだと考えます。野党再編や選挙協力がかまびすしいですが、理念の一致がなければ野合に過ぎません。目先の株高ではなく、未来の日本を持続可能にする経済政策の上にこそ、新たな政党のかたちが見えてくるはずです。
三村和也