毎年160兆円の国債発行
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今年に入って円安、株高などで景気回復路線に向かっていることは非常に良いことで、小泉政権のときもそうでしたが、好景気が続いていくことが内閣高支持率の根っこになっているのだと思われます。
国及び地方の長期債務残高は、平成24年度末で940兆円と、GDPの196%に及んでいます。
債務残高はストックベースの数字ですが、フローでみると、平成25年度の新規国債発行額は44.2兆円。一般にはあまり知られていませんが、財務省は新規国債の他に、既に市場に出回っている国債の「借り換え債」を毎年発行しており、その額は平成25年度見込みで115.5兆円です。
つまり、今年度発行される国債は総額で160兆円超。日本の財政は、毎年160兆円以上の国債を市場に消化させることによって成り立っています。これだけの額の国債を市場に消化してもらうのは、並大抵のことではありませんが、なぜそれが可能だったかと言えば、不景気と低金利のため、国債に資金が流れてきている。つまり、不景気と低金利が日本のファイナンスを支えてきたという構図になるわけです。
しかし、年間160兆円もの国債を発行していることは、日本の財政が金利上昇に極めて脆弱であるという大きなリスクを孕んでいます。
財政再建には経済の好転が必要ですが、経済が良くなると資金需要が上がるので、当然金利も上がってきます。毎年160兆円以上の国債を発行しているわけですから、金利が1%上がれば、毎年の国債利払い負担は単純計算で1.6兆円増え、2%の金利上昇で3.2兆円増えます。消費税1%分の税収2.5兆円も簡単に吹き飛ぶ計算です。
財政再建の指標としてよく使われるプライマリーバランスという数値は、国債の利払い費と元本償還費を除いた数値なので、景気回復によってPBは改善しますが、財政全体は利払いが増えて苦しくなることになります。