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2012年6月 6日

非ケインズ効果

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今日も終日、特別委員会での審議。

この消費税の議論の中で「非ケインズ効果」という論点が取り上げられる事があるので、今日はそれについて取り上げてみたいと思います。

ケインズ経済学は、景気の悪い時は財政支出をする、または減税することで民間消費を刺激すれば景気が良くなる(ケインズ効果)という考え方です。このため、その逆の歳出削減や増税は、民間の消費などに悪影響を与え国内総生産(GDP)の押し下げ圧力となるると考えられます。

これに対して、財政赤字が拡大していて、政府債務残高が極めて高い状態にあるといった現在の日本のような国の場合、増税や歳出削減などの財政の引き締めが、民間の消費を拡大させる効果を持ち、GDPを押し上げる可能性もある、という考え方が「非ケインズ効果」です。1980年代以降デンマークやアイルランドでこういった事象が観察されたとされています。

これは、莫大な財政赤字が将来の不安を助長するため、現状では民間の消費が萎縮している、という考え方です。つまり、日本でいえば、将来の国の財政が不安だから、年金も支給されるか分からない。だから普通の人は貯金をしておこうとし、そうすると、消費にお金が回らないということになります。
このため、財政再建や増税によって将来不安がなくなると、預貯金が消費に回り、景気に好影響を与えるということです。
この説が正しいかどうか、というのは議論が分かれるかもしれません。

しかし、いずれにせよ、日本の現状を考えると、公共投資を増やして財政拡大することが国民=消費者から好感を持たれるとは思えません。早急な財政再建の必要性が国民の多くの共通認識だと思います。経済を好転させる根幹は、消費者の「気」です。消費者が消費をしよう、という気持ちが景気を拡大させ、それが企業の投資を呼び、そしてそれがまた消費を喚起する。こういう好循環の最初の根っこは、国民=消費者の「気持ち」違う言い方をすると「将来への安心と期待」です。

そうするとやはり財政再建の道を選ぶとして、その手法は、増税やむなしとしても、「歳出削減」を大胆に行い、また、「何年までに借金をここまで減らす」(当面はプライマリーバランスをゼロにする)という財政再建の工程表を示し(既に示していますが)、それを着実に実行していくということであると思っています。

増税をするのであれば、「いついつまでに借金体質を無くす」そのために、「こういった支出を削減する」というプランを示さなければなりません。消費増税をしても、毎年1兆円ずつ増えて行く社会保障費の「出口」の改革をしなければ、財政再建は出来ません。国民に痛みを強いるとしても社会保障費の抑制策をこの一体改革を機に深めなければなりません。今の政府の案だとこの削減の部分があいまいなため、引き続き、この点について政府を動かしていきたいと思っています。

三村和也

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