2012年3月14日
AIJ問題の論点
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横浜駅西口での朝の駅立ちの後、
8時から、経済財政調査会。円高デフレ対策について。
昨日の日銀政策決定会合の結果等についてヒアリングしました。
その後9時半から、
財務金融委員会にてAIJ問題に関する参考人質疑です。
AIJ浅川社長は参考人出頭を拒否しました。由々しきことです。
このため、
日本証券投資顧問協会岩間会長
企業年金連合会村瀬理事長
全国卸商業団地厚生年金基金神戸常務理事の3名の参考人から意見聴取でした。
今日の参考人質疑は、当事者が出て来ておらず、あまり要領を得ないものでしたが、
あらためて、この問題について整理すると、
まず、年金基金全般に関して、
年金資金の運用については、予定利率が現在でも多くの年金基金で5.5%となっています。厚生年金法成立同時の公定歩合が使用され、その後も予定利率を引き下げると積み立て不足が生じるため、多くの基金で、利率が据え置かれています。このことがひとつの大問題。
平成2年に年金運用のポートフォリオに投資顧問が参入。平成9年に分散投資に関する5:3:3:2規制が撤廃された後は、ポートフォリオは年金基金が自由に決められるようになりましたが、一方で、年金基金に投資の専門家が必ずしもいるわけでなく、グローバル化、金融の高度化に伴って、リスクが高まっていったというのが現状です。
そして、AIJ問題については今現在、当局の捜査が進んでいますが、上記のような現状に鑑みた構造上の論点として以下のような諸点に規制をどの程度かけるか否かを今後政府として決めていくことがポイントだと思います。
まず、そもそもAIJは外部監査を受けていなかった。外部監査の義務化が必要ではないか。少なくとも資産運用の開示の厳格化は必要だと思います。
そして、資産運用に関しては分散投資でポートフォリオを組むのが普通なところ、AIJに5割以上の資産を委託していた基金も複数ありました。年金基金の分散投資をもう一度、指導、規制すべきなのかどうか。(ここはやや議論が分かれるかもしれません。)
また、天下りについては、社会保険庁OBが年金コンサルタントとしてAIJに関与したり、社保庁などから600名を超える天下りが年金基金にいっていました。天下り規制というよも、年金基金に資産運用のプロの配置を義務づけるべきかどうかという論点で規制を考えるべきだと思います。年金コンサルタントというのは、なんだかよくわからない仕事ですが、それが社保庁のOBだからという理由で基金の投資運用行動を決めていたということでは問題ですので、無資格でコンサルタント業を行ってよいのかどうか、資格基準を作るべきかどうか、という論点だと考えます。(ここは投資行動を決めた側にも責任がありますが、いずれにしても、社保庁OBのなれ合いの中で年金運用が決められ、大損失を発生させていたということであれば、大きな問題です。)
さらに、多くの年金基金の予定利率が未だ5.5%であり、この高すぎる予定利率がリスクの高い運用を誘発していないかどうか。予定利率を引き下げることを後押しする政策を考える必要がありそうです。これも財政出動を伴うものになるので厳しくはあります。
最後に、規制する側の行政の監視能力強化。規制は厚労省ではなく、金融庁にシフトすべきだと思います。
こういったところでしょうか。
今日は、午後には政治改革推進本部で定数削減の議論を進め、80削減を実現するよう意見が多数。そしてこの後17時半から、税調合同部会で、社会保障と税の一体改革法案審議が始まります。
三村和也