2012年2月28日
エルピーダの破綻と我が国の産業政策
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民事再生法ではなく会社更生法なので、債権者の権利が大きく制限されるため、今後、同様にJALが再生を果たしつつあるように、再生していくと思いますが、エルピーダの破綻は、政府としての産業政策がグローバルな競争の世界で、効力を失っていることを表していると感じます。
ぼくが経産省にいたころ、日本には半導体メーカーがいくつもあり、DRAMの世界ではNEC、日立、三菱とあったものが、エルピーダ1つに再編されましたた。ちなみにシステムLSIの世界でも同様にルネサスエレクトロニクスひとつに再編が進んでいます。この再編を促すために合併に有利な税制優遇措置等の政策ツールを使ってきたのが経産省の政策です。それ自体は有効であったわけです。一方で、産業活力再生法による公的資金を使っての支援というのは、グローバルな競争に晒されるこの業界にとっては、Too Smallであったということでしょう。サムスンは「設備投資」に円換算で4兆円以上を年間に使いますが、政策投資銀行のエルピーダへの出資は300億円です。
やはり、我が国の経済成長戦略を考え直す必要があると常々思っています。
今の政府の新成長戦略というのは、個別の分野の政策のまとめになっています。個別の政策や支援策はそのときの情勢に応じてやればよいですが、中長期的に日本の期待成長率を上げる政策をうたなければなりません。それには人口増加政策と市場拡大、日本に世界から人と物とお金が集まってくるようにする。そういう政策を簡単ではありませんが、打ち出していきたいと思います。
三村和也