その後、そごうでお見舞いに来てくださった方々への快気祝いと、８日後に迫った妻の誕生日のプレゼントを購入。

そのあと、祖母に退院の報告に行った。

祖母の家のみかんの木になるみかんは、いつも、それはそれはすっぱくって、祖母に「庭からみかん取って来て食べなさい〜」と言われても、遠慮しがちだったのだが（そりゃ、横浜の都会の日光では、甘さは育たないというものだ）、

今日、勧められてなんとなしに一口食してみると、その甘いこと！

さっそく庭に出て行って、たわわに実っているみかんをハサミで切り落とす。

「なんで今年はこんなに甘いのかね」とぼく。

「去年は実らなかったからね」と祖母。

「どうして去年は実らなかったんだっけか？」

「おじいちゃんが死んだからね。」

去年実らなかった分、今年は甘い実をつけたのだろうか。

だとしたら、死んでいくのと引き換えに、庭の甘〜い蜜柑をぼくらに残してくれるだなんて、ささやか過ぎるぜ、おじいちゃん。

そんな想いに耽りながら、みかんを４ついただいたのです。

三村和也