天下り
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ぼくは官僚出身だが、霞ヶ関を改革するために霞ヶ関を飛び出した脱藩官僚として、天下りの禁止は大賛成だ。
自民党も最近では、「天下りを禁止する」と言うようになってきたが、天下りや渡りを許す政令を成立させたり、首相の発言がフラフラぶれたりと、やはり官僚依存の自民党政権に、霞ヶ関の利害と衝突する改革を進めることは出来ないんだな、と痛感させられる。
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1.天下りはなぜ起こるか?
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さて、天下りはなぜ起こるのか?霞ヶ関の官庁では、例えば、キャリア組入省同期が20名いたとすると、その中で局長まで行けるのは3−5名程度、次官になれるのは、1名未満(次官を出さない期もあります。)。
霞ヶ関の人事では、「年次」が極めて重要な意味を持ち、「年次」が上の人間が下のポストにつくことは決して発生しない、「年次の逆転」は決して起こらない、という慣例がある。このために、人事のピラミッド構造を保つために、早期退職(50歳程度から)と天下りがセットになり、天下りが行われるのだ。
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2.天下りの実態
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やや古い数字だが、正式なものとして政府が認めた数字で、「2003年8月からの1年間に退職した中央省庁の課長・企画官以上の国家公務員1268人のうち、552人が独立行政法人、特殊法人、認可法人、公益法人に再就職した」という数字がある。また、期間は異なるが、民間企業への天下りもあり、「中央省庁の斡旋や仲介で民間企業に再就職した国家公務員は、2003年までの5年間で3027人」という数字もある。
ぼくの経験から、実態を分かりやすく言えば、少なくともキャリア官僚は1人の例外も無く、全て天下りをする。
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3.天下りの問題点
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さて、通常の民間企業でも、親会社から子会社への天下りということは行われる。なぜ官庁だと問題なのか?それは、天下りと一緒に権限や予算がくっついていくためだ。
国民にとってはまったく必要ない事業(例えば調査委託だったり、ハコものの施設を作る事業だったりする)なのに、天下り官僚OBが、当該法人にいるからという理由で、その法人に随意契約や補助金を与えて税金を使う、といったことが行われてしまうためだ。
さらには、各官庁は、自分の省の天下り先を確保するために、特殊法人を作る、公益法人を作る、といった行動をとったりもする。
こうして、私たちの税金の使い道が、天下りによって歪められ、膨大なムダづかいが行われてしまうことが、天下りの最大の問題点である。
いったいいくらの税金が、天下りのために使われているのだろうか?民間企業への天下りを抜いた数字だが、平成18年で、
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4696の法人(特殊法人、独立行政法人、公益法人等)に対して26632人の官僚OBが天下っていて、それらの法人に対して毎年12兆6048億円の税金が、補助金や随意契約で使われてしまっている。
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4.天下りの根絶は行政改革の要(かなめ)
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このように、天下りによって、膨大な税金がムダづかいされている。天下りの根絶は、税金のムダづかいの排除、行政改革の要(かなめ)だ。
しかし、これまで霞ヶ関に政策を依存することによって成り立って来た自民党政権には、霞ヶ関の利害と衝突をする、この改革を行うことはできまない。霞ヶ関とのしがらみがない、民主党にこそ、天下りの禁止という大改革が出来る。
天下りの根絶は、まず天下りの原因となっている早期退職勧奨をやめ、定年まで官僚が働けるようにする(ただし、安いお給料で)。あわせて、天下りの受け皿となる、特殊法人や独立行政法人、公益法人をゼロベースで全て見直し、原則廃止/民営化として、どうしても必要なものは、国直轄とする、といった改革が必要だ。
こういった改革は、霞ヶ関の徹底的な抵抗を受けるのが必至だから、容易なことではない。まさに明治維新のような大改革だ。
しかし、国民から権力の正当性をもらった政権交代後の民主党が、真っ先に取り組んで、この改革を実現していかなければならない。
日本を動かす時が来た
三村和也