福田内閣では、消費者保護行政の強化を内閣の重要政策と位置づけているようだ。しかし、やろうとしていることは消費者庁という「組織の新設」だけで、中
身が伴っていない。福田総理はどうしても組織の新設をしたいようだが、具体性がないから官僚組織の抵抗にあって、骨抜きになり、なんの権限もない新組織が
出来て、官僚組織が焼け太りするだけに終わることが必至だ。そもそもの問題点は、繰り返しになるが、組織新設ありきで中身がないこと。消費者保護行政を強
化したいのであれば、新たな規制を新設し、それに伴って、A省からは何局の何課を移管し、B省からはこの権限を移譲させる、ということが必要である。第2
の問題点は、新組織の具体性のなさである。福田総理は、「各省庁から消費者行政に関する権限を移譲する」ということを明言することで満足してしまっている
ようだが、それだけでは、各省庁はいくらでも理屈をつけて、「この権限は消費者保護ではなく別の規制だから我が省に残すべきだ」等々の理由で権限を守るだ
ろう。もしやるのであれば、政治主導で新組織に移譲する具体的な省、局、課を列挙すべきである。また、福田総理は、これが行政改革の静かなる第一歩になる
といった趣旨のことを言っているが、(必ずしも規制強化や組織の新設が行政改革に反するわけではないが)今、日本に必要な本当の行政改革は、霞ヶ関の中で
消費者行政の窓口を一本化するといったような話ではなく、国と地方の関係(国から財源と権限を地方に移し、道路を含め地方のことは地方で決める。)や財政
構造改革(硬直的な予算配分をやめ、特別会計の原則廃止を含めた柔軟な予算システムによる税金の無駄遣いの排除)に正面から取り組み、国のカタチを根っこ
から変える行政改革であろう。