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2008年4月25日

食の安全

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 米国から輸入した牛肉にBSEの原因物質が蓄積しやすい危険部位が混入していた事実が発覚した。政府は、再度の輸入禁止は行わない方針で、不問に付す考 えのようだ。食の安全に対する危機意識が弱いのではないだろうか。中国製冷凍ギョウザへの毒物混入事件もあったばかりで、国民の食に対する不安は増大して いる。食料自給率が低く、食料を外国からの輸入に頼らざるを得ない我が国としては、食の安全の分野においては、国として明確な基準のもとに断固とした措置 を取るべきである。また、同時に、食料自給率の向上に努め、安全な食品、ブランド価値の高い食品といった分野で逆に世界に出ていくための国家戦略を構築す べきだろう。政府は、日本が世界で最も厳しい水準の輸入条件を維持していることに米国内の反発は強いため、日本の過剰な反応が日米間の摩擦を生むことを懸 念しているらしい。

(※日本は「月齢20カ月以下」という厳しい輸入条件を採用しているが、米国は条件の撤廃を要請している。今月に入って日本と並ぶ米国産牛肉輸入国の韓国 が条件緩和で米国と合意したこともあり、米食肉業界などは「特異な国」と日本に対する強い不満がある。)

これは、本末転倒な話である。モノを買う「顧客」が「売り主」に嫌われることを気にして、粗悪品でも買ってやるといった理屈が成り立つはずがない。こうい うと、「外交の世界はそう単純ではない」と外交の専門家たちは反論するだろうが、外交の基本姿勢は通常の社会通念・社会常識とかけ離れていてはいけない。 私は防衛省で弾道ミサイル防衛の日米交渉を担当していた経験から、日本の対米「外交」が対米「追従」に陥っていることを極めて懸念している。食の安全・安 心といった分野で、明確な基準を打ち出し、断固とした外交姿勢をとることで、逆に日本が世界をリードしていくような積極的な外交戦略が必要である。

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